夏の季語『合歓の花(ねむのはな)』

夏の季語『合歓の花(ねむのはな)』

解説
あまり聞いたことのない花かもしれませんが、写真をみたらわかるかもしれませんね。マメ科の植物で高さ10メートルにも及ぶこともあるようです。ちょうど6月~7月くらいに花が咲きます。刷毛(はけ)のように美しいピンクの花は夜になると閉じられて眠っているように見えることからこの名前がついたと言われています。

樹木としての名前は「ネムノキ」なのですが、季語として使われるのは花の方です。

中国では夫婦円満の花になっているのでこの漢字が当てられています。

『ねぶの花』『花合歓』とも言います。

※太字はすべて同じ季語として使うことができます。

季語『合歓の花(ねむのはな)』の俳句と鑑賞

合歓の花沖には紺の潮流る 沢木欣一

鑑賞:「合歓の花」のあとに切れが入っています。

合歓の花……沖には紺の潮流る

こうなっていますので、意味としては

「合歓の花が咲いている。……沖の方には紺色の潮の流れがある。」

こうなります。しかし、合歓の花の色合いを知っている人には濃紺の海をバックに咲く薄桃色の合歓の花が美しく浮かんだのではないでしょうか。

また、上にも書いたように「合歓の花」には眠りや夫婦円満の意味もありますから、その裏に流れる情愛も表現されているようにも感じられます。

谷空にかざして合歓のひるのゆめ 長谷川素逝

鑑賞:合歓は時に大きな樹ですから、見上げることもあるでしょう。谷の底の方から見上げた合歓の花に夢の世界を感じているという句です。

確かに合歓の花の姿形は夢の世界の一部のような感じがしますよね。眠りに落ちるともいいますから「谷空」という言葉と響き合っています。夢の中から空を覗いているような美しいイメージ。

下五(最後の五音)の「ひるのゆめ」という平仮名での書き方も柔らかくていいですね。

折り合ひをつけて暮して合歓の花 山内美代子

解説:人間ならば誰しも暮らしの中に折り合いをつけているものです。季語『合歓の花』を合わせた一句。このように観念的なことを俳句に織り込むときは季語を花とか動物など具体的なものにすると良くなります

俳句はモノで語る詩だからです。どうしてモノで語るのかと言うと短いからですね。短いからこそ具体的なモノをイメージさせるわけです。

さて、この句ですが、『合歓の花』が眠りや夫婦というイメージを持っていますから日々の暮らしというものと響きますよね。かといって生活感が出すぎているわけでもない。絶妙な距離でピッタリとはまっています。素晴らしい句だと思います。

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