冬の季語『冬至(とうじ)』
解説
二十四節気(にじゅうしせっき)という古い季節を表す言葉で、12月22日ごろに当たり冬のちょうど真ん中である。一年中で最も太陽が低く、昼間の短い日。この日以降少しずつ昼間がながくなっていく。南瓜(かぼちゃ)を食べたり、柚子風呂もこの日に入る。
※二十四節気:1年を24等分しその節目節目に名称を与えたもの。
季語『冬至』の俳句と鑑賞
へつついに冬至の柚子がのつてをる 富安風生
鑑賞:「へっつい」というのは落語などによく登場する竈(かまど)のことです。昔はガスなどありませんからそれぞれの家にへっつい(つまり、かまど)があり、そこでお料理をしていました。そこに冬至の柚子が載っているというわけです。「きっと今夜は柚子風呂なんだろうな」という庶民のささやかな喜びが見出だせるような良い句です。
どうらんの堅さ冬至の楽屋かな 小沢昭一
鑑賞:タレント・俳優であり、俳人でもあった小沢昭一の作品です。
冬至は冬の中でも寒い時ですから、顔に塗る「どうらん」も硬くなっていたというわけです。一般の人は冬至といえば柚子風呂などの風景を俳句にするわけですが、彼は冬至の楽屋を持ってきました。
書かれた通りに読み進めると、
「どうらんの堅さに気づき、今日が冬至だったということに気づいた。」ということでしょう。(俳号は小沢変哲)。
山国の虚空日わたる冬至かな 飯田蛇笏
鑑賞:有名な俳人、飯田蛇笏です。山国の空ではなく虚空と書かれています。冬至は太陽が早く沈み、また最も低く昇る日でもあります。煌々(こうこう)とした明るさはなくどんよりとした空でしょう。それを虚空と表現しています。その虚空を日が動いていく様子を句にしました。スケールの大きな一句です。
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