夏の季語『五月』

夏の季語『五月』

解説
『五月』は夏の季語です。春から夏に変わる時期で『初夏(はつなつ)』とも言えるでしょう。

晴天が続きバーベキューやピクニックなどにぴったりの季節ですね。『薫風(くんぷう)』によって『鯉のぼり』が空に泳ぐのもこの季節。

緑と光にあふれた爽やかな季節ですね

『聖五月』『五月来る』も同様の季語で、それほど五月は喜ばれる月だということがわかりますね。

※太字は全て季語です。

季語『五月』の俳句と鑑賞

目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹 寺山修司

鑑賞:有名な作家の有名な一句です。寺山修司はもともと俳句や短歌の人だったんです。

「吾」は「あ」と読みます。我のことですね。「統ぶ」は「すぶ」と読みます。統(す)べると言えばわかるんじゃないでしょうか。

読み方は「めつむりていてもあをすぶごがつのたか」

つまり意味としては

目をつぶっていても五月の鷹がわたしを統べている。

ということです。
目をつぶっているのが私なのか鷹なのかは書かれていません。想像に任せられています。

一般的には私が目を閉じていると言われることが多いようです。それは寺山修司のナルシストで空想好きなところが影響しているのでしょう。

しかしわたしとしては、爽やかな五月の空を飛ぶ鷹が目を閉じて地上のわたしを統べているというイメージの方が浮かんでしまいます。

これはどちらが正しいということではなく、言葉や季語の意味を知っているのと同じように作家の背景を知ることで鑑賞が変わってくるということに過ぎません。たくさんのことを知っているのは悪いことではありませんが、それが正解というわけでもありません。わかっていることだけでも自由に楽しんでいいのが俳句です。

それにしても光り輝く五月だからこそ鷹に神秘的な雰囲気が漂いますね。

肌着などやさしきものの五月かな 野村登四郎

鑑賞:肌着という単語が効いていますね。「やさしきもの」だけではどんなものかわかりません。肌着とあることでぐっと具体性を帯びてきます。

五月になると暑い日も出てきますから、肌着を目にする機会も増えるわけで、そこに目をつけたところが素晴らしいです。また、肌着という生活に密着したものであるというのも見逃せません。

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