冬の季語『冬』

冬の季語『冬』

冬の季語『冬』


解説:立冬(11月7日ごろ)から立春(2月4日ごろ)の前日まで。陽暦のほぼ11月、12月、1月にあたる。三冬は初冬、仲冬、晩冬のこと。日が短く気温の下がることから動物も植物も休息し、成長期の春に備える。

踏切の向かふにあれば冬の顔 中村菊一郎

鑑賞:踏切の遮断機が今降りてきて、電車が来るのを待っています。学生さん、社会人、いろんな人たちが寒い中をただ電車が来ることだけを目的に立っています。その顔は、みんな同じようで、寒さに耐える面々だなと思うのです。

冬といえば

自然にとっては睡眠の時間、休息の時間であり、春のための準備の時間であるのだと思います。人間の場合なら、1年頑張ってきたことに乾杯し、反省し、新たなスタートをするためのものです。

秋が終わり活動ができる春を待っていても、すぐにはやって来ません。そう望んだとしてもこれは誰もが常識だと思っていることです。

秋と春の間には必ず冬があります。
例えばどんなに素晴らしい、スポーツ選手でも休息もします。休息も練習のうちだといいますし、疲れていてはいいパフォーマンスを発揮することはできません。
また冬の寒さに、人間は皆背筋がピンとします。そういう意味で冬は、1年のたるみを調整する期間かもしれません。

冬を人生に例えると、「死」という言葉を使いたがりますが、私は「生」の意味もあると思います。赤ん坊は、お母さんのお腹の中で十月、十日過ごします。春は人生の中では新しい生命が産まれる季節であり、お腹の中にいる期間を冬の季節だとするならば、赤ん坊にとってその時間は、外界に出るための準備期間とも言えると思います。そう考えると、冬は目には見えない生であると思うのです。冬が死と思うのは外見だけを見るからだと思います。実は冬も見えないところで、せっせと休みなく働いているようです。

私は、季節には人生と同じで、それぞれ役目があると考えます。冬は木や草花が地面の下へ下へと根を伸ばす地面の中が活動場所であり、人間で言えば、家の中が主な活動場所になるのだと思うのです。そして、新しい世界の到来に備えて、今度はあれをしようこれをしよう、これがしたいとプランを思い巡らせながら、夢を見る時間なのかも知れません。