新年の季語『鏡餅』

新年の季語『鏡餅』

解説
日本では伝統的にお正月には鏡餅を飾ります。これは穀物の神である歳神様へのお供えとされています。

丸い形の餅を2つ重ねたものがどうして鏡餅というのか、昔の鏡(青銅鏡とか呼ばれるもの)の形に似ているからだそうです。

意味のある様々な装飾があるのですが、現在ではスーパーなどでセット販売されていますね。

さて、鏡餅で俳句を作るときの注意を書いておきます。新年の俳句の作り方にも書いたのですが、コツはめでたくなりすぎないことです。というのも鏡餅という言葉の中にお正月が、そしてお正月にはめでたさがすでに含まれています。俳句という短い詩の中で重複する言葉を使うのはもったいないことです。

※ただし、例えば職場や親戚の集まりなどそういう時に俳句を作る場合、つまり素人の人に見せる場合はできるだけおめでたくしてもいいと思っています。俳句の世界では挨拶句というものになります。相手にプレゼントする句ですから俳句の制約からはみ出ても伝わることが重要なのです。

季語『鏡餅』の俳句と鑑賞

鏡餅暗きところに割れて坐す 西東三鬼

解説:大俳人である西東三鬼の作品です。「おそるべき君等の乳房夏来る」で有名ですよね。モダンでダンディな俳句と言えば三鬼です。

意味としては、「鏡餅が暗いところで割れている」

ただそれだけのことです。「坐す」というのは鏡餅の形状を表しているのでしょう。これは飾り立ての鏡餅ではなく、正月3が日が終わって鏡開きまでの間のことでしょう。もう気分的には正月でもなくなって、忘れられた鏡餅が誰に見られるともなく割れているという感じです。誰もが覚えのある現代の鏡餅って感じがしませんか?

鏡餅テレビ薄くて乗せられず 守屋明俊

解説:意味はシンプルです。

「鏡餅を載せようと思ったが、テレビが薄くて載せられなかった」

ただそれだけのことです。が、昔は鏡餅の定位置はテレビの上という家も多かったのではないでしょうか。つまり、その頃を知ってる人には感慨深い句になるわけです。

昔は〇〇だったが、今では〇〇だ。という郷愁(きょうしゅう)が入ってきます。また、鏡餅は新年の季語ですから、時代の移り変わりという意味が響いてきますね。

山の名のあるにはあるや鏡餅 斉藤隆顕

解説:お正月に親戚が集まって、近くの山の話になりました。「それであの山はなんていう名前だったっけ?」「さぁ知らないねぇ」そんな中、お年寄りが山の名前を口にします。話題には出たものの山と言っても大した山じゃありません。ただ一同「ふ〜ん」という雰囲気。鏡餅がその様子を眺めるように鎮座しています。

というような意味でしょうか。あるいは、ふと目に入った山のことを思い浮かべる一人のお正月という風にとらえても構いません。この句から自由に想像を膨らませましょう。

大した山じゃなく、大して豪華な鏡餅でもない。庶民のお正月です。

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