春の季語『日永(ひなが)』

春の季語『日永(ひなが)』

解説
科学的には夏至の前後に昼間の時間が長いのですが、体感的には冬が終わった後の春になると「ああ日が長くなったなぁ」と感じます。そんなわけで日永は春の季語になっています。

同じような季語として夏の『短夜』、秋の『夜長』、冬の『短日』などがあります。

『永き日(ながきひ)』『日永し(ひながし)』『永日(えいじつ)』も同様の季語です。

※太い文字は季語です。

季語『日永』の俳句と鑑賞

永き日のにはとり柵を越えにけり 芝不器男

鑑賞:日永といえばこの句と言えるほど有名な一句です。「にはとり」はニワトリのことですね。意味は簡単ですが、「永き日のにはとり」というのが難しいんじゃないでしょうか?これは「春になり日が長くなってきたとある日のニワトリ」くらいの意味です。いかにも俳句的な省略方法なので覚えておきましょう。

※同様に「長き夜の〇〇」なども使えます。

さて、この永き日のニワトリが柵を越えてしまった。

たったそれだけなのですが、ここからいろいろなことがわかります。まずわたしが思ったのは「柵を越えるまで見てたなの?逃げたら追っかけないと」ということです。「越えにけり~」なんて言ってる場合じゃないんじゃ…(ちなみにこの作者は明治生まれの人なのでニワトリが家で飼われていても不思議じゃありません)。また、その柵はおそらくニワトリの脱走防止用なはずですよね。つまり普段なら越えないはずなんです。それがその日に限って越えちゃったんですよね。

これらはたぶん春のせいなんだろうと思います。ぼんやりとした春の昼間だからニワトリが逃げるのをぼーっと見てたんでしょうし、ニワトリも春のふわふわした陽気だからこそ、柵を飛び越えれたに違いありません。

もちろん、これ以外にも様々な鑑賞があると思いますので、みなさんも色々想像してみてください。

饅頭に人相のある日永かな めろ

鑑賞:愛媛県松山市がやっている俳句ポストの中の一句です。

一瞬で素敵な句だなと思いました。饅頭は「まんじゅう」と読みます。あの甘い「おまんじゅう」のことです。その饅頭にも人相があると言うんですね。たしかに、手作りのお饅頭の見た目は全て微妙に違います。でもよく見ないとわかりませんし、気づきません。でも、そう言われれば人相がある気がします。

わたしは和菓子の制作には詳しくありません。もしかしたらそういう言い方があるのかもしれませんが、それを知っていても知っていなくても面白くて素敵な表現だなと思います。

そして、饅頭の人相のような話題は日永という季語にピッタリだなと思います。

永き日や相触れし手は触れしまま 日野草城

鑑賞:日野草城という有名俳人の一句です。読み方としては、

「ながきひや、あいふれしては、ふれしまま」

中七~下五の意味は「お互いに触れ合った手は触れ合ったままにした」というわけです。恋の句ですね。日野草城という俳人はこのような男女の句で有名な人です。

永き日ですから、長い間手をつないでいたのでしょう。ロマンチックな一句です。

※五七五のうち、上の五音を上五。中の七と中七。下の五音を下五という。

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