春の季語『春の月』

春の季語『春の月』

解説
春の月と言っても朧月のようなイメージが強いかもしれませんが、ここで言う春の月は季節が春の間のすべての月を指します。もちろん、朧月も含まれます。

特に春の満月は水蒸気によって大きく見え、重量感のあるものになります。秋の透き通った月に比べてやや重みを持ったような印象の月が春の月のイメージではないでしょうか。

『春満月』『春月夜(はるづきよ)』『春月(しゅんげつ)』なども同様のきごです。

季語『春の月』の俳句と鑑賞

外にも出よ触るるばかりに春の月 中村汀女

鑑賞:超有名な一句です。「外にも」は「とにも」と読みます。

意味は、外にも出てみなさい。触れそうな春の月がでていますよ。

というような意味でしょう。春の月の重厚感を見事に表現しています。また「外にも出よ」という命令形もうまく作用していますね。春は別れと出会いの季節、ちょっと塞ぎ込んだような人でもいたのでしょうか。学業にしろ社会にしろいろいろなことが起こる時期ですから。

そのような人に対して、「外に出て月を見てみなさいよ」というのはなんとも素敵なアドバイスだと思いませんか?女性的な優しさがにじんでくるような感じがします。

春の月水の音して上りけり 正木ゆう子

鑑賞:春の月は大気中の水蒸気のせいでぼんやり見えたりして、確かに水っぽいところがあります。しかし、水の音がするか?といえばそんなことはあり得ません。

しかし、その大きさや重量感からそう言われても不思議な感じはしません。単純に海や湖から上がる月を見て作った一句なのかもしれませんが、そこに想像がいかなくても、なんとなくわかる気がします。

俳句にとってこれはとても重要なことで、そんなことはあり得ないがなんとなくそんな気がする。そういう俳句は成立していると言われます。しかし、誰もが言われてみるとそんな気がするということを思いつくのはなかなか難しいことでもあります。

自分しかわからないことだと成立しないので注意が必要です。

春月や犬も用ある如く行く 波多野爽波

鑑賞:波多野爽波の一句です。

「如く」は「ごとく」と読みます。この句は「や」で切れます。なので、春月と犬も用ある~は意味として繋がっていません。

意味は、春の月が出ているなぁ…犬も用があるように歩いている。

というところでしょう。何を言っているのか意味がわからないかもしれません。でも、意味なんてないんです。ただ、この俳句からいろんなことを想像して遊ぶことしかできません。

春という季節は生命が活発になる頃です。月の満ち欠けも生命の活動に関連していますよね。この場合は犬ですね。犬も生殖活動の季節です。相手を探して歩いているのかもしれません。

「犬も」です。「も」ですから「自分も」でしょうね。犬も自分もまるで用があるかのように歩いている。と言ってるわけですよね。ということは、本当は用事なんてないわけです。ただぶらぶらしているだけなのでしょうね。

ここまで読み取っていくと、その風景が頭の中に浮かんできて楽しい気分になってきませんか?

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