春の季語『雛祭(ひなまつり)』

春の季語『雛祭(ひなまつり)』

解説
3月3日は昔から雛祭(ひなまつり)と呼ばれ女の子のお祭りになっています。女の子が無事に大きく育つようにと願われるお祭りですね。桃の節句という言い方もあります。

もともとは中国の習わしでこの日に水辺で災厄を払う行事がありました。それが日本の風習(人形に体の穢れ(けがれ)を移し、海や川に流した)ものとが合わさって雛祭になったと言われています。

『雛(ひな・ひいな)』『桃の節供(もものせっく)』『雛あられ(ひなあられ)』『雛壇(ひなだん)』『雛飾る(ひなかざる)』なども同様の季語です。

季語『雛祭(ひなまつり)』の俳句と鑑賞

机除け書物除け即雛の間 中村与謝男

鑑賞:庶民の一句ですね。

「つくえよけ、しょもつよけ、そくひいなのま」

「雛」は「ひいな」とも読みます。こう読むとぴったり五七五になります。さて、意味は誰でもわかるでしょう。雛壇に乗るような大きな雛人形を飾ろうとするとかなりのスペースが必要です。今の日本の住宅事情では中々に難しい。

そんなわけで何段もある雛人形を飾る家も少なくなりました。

しかし、この句の家にはそれがある。なんとかして飾らなければならない。そこいらのものを片付け片付けして(特に父親のものは生活n必要ない物が多いので)その場所を作ったということです。

女の子には嬉しい雛祭も男性(特に父親)には形見の狭い行事だったりするものです。

病室の母に小さき雛飾る 林まあこ

鑑賞:入院中の母のために小さな雛人形を飾ったという一句です。病室でなくても老人ホームの居室などで想像しても良いのかもしれません。季節行事としての雛祭は女の子のためだけではありません。ご高齢の方が季節を感じたり、昔を思い出したりするための行事でもあったりします。

このように女の子のお祭りとしてだけでなく、いろんな場所で季節の行事は行われています。入院中でも、老人ホームやデイサービスでも。

よく見てみると季語はそこら中にあって、わたし達の生活に溶け込んでいるものです。それらで俳句を作ると面白いものができたりしますから、色んな場所で色んな季語を探し、俳句を作ってみると楽しくなってきます。

雛壇のうしろに廻り埒もなし 斉田仁

鑑賞:これも男性目線から描かれた雛祭の句です。

「ひなだんのうしろにまわり、らちもなし」。

モノを落としたか、掃除のためか、あるいは、興味本位で雛壇(雛人形を飾っている段)の後ろに行ったということでしょう。

「埒もなし」とは「めちゃくちゃでバカバカしい」とか「仕方がない。つまらない」とか言う意味があります。

確かに、雛壇の後ろなんてなんにもありませんよね。せいぜいホコリが積もっているくらいです。表から見れば豪華で美しい雛壇も後ろはどうということのないつまらないものでしょう。物事というのは案外そういうものです。

雛祭で浮かれている家族の中で自分だけがちょっと冷めている。そんないめーじではないでしょうか。

もちろん、作者を女性として考えても構いません。それぞれの想像を膨らませて楽しみましょう。

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