春の季語『麗か(うららか)』

春の季語『麗か(うららか)』

解説
春のみずみずしい光によって明るくて美しい様子のことを言います。『春うらら』というのは童謡の歌詞などで親しみがあるんじゃないでしょうか。

『うらら』『うららけし』『うららに』『うらうら』という使い方もあります。

季語『麗か(うららか)』の俳句と鑑賞

うららかや猫にものいふ妻のこゑ 日野草城

鑑賞:有名俳人である日野草城の一句です。「いふ」は「いう」で「言う」のこと、「こゑ」は「こえ」と読み「声」のことですね。

わかりやすいですね。

妻が猫に話しかけている。そこら中は春の気配で明るくなんとなく世界中が輝いているかのようだ。

ということです。奥さんのことをとても愛しているのでしょう。微笑ましい光景です。話している相手が猫であるというのもいいですね。『恋猫』『猫の子』というのも春の季語です。猫が寝転んでいる様子などはなんとなく冬の終わり~春の気配がします。

九官鳥同士は無口うららけし 望月 周

鑑賞:「九官鳥」は「キュウカンチョウ」のことです。人の声を真似する黒い鳥ですね。

あの鳥はちょっと見るには可愛らしいですが、ずっといるとうるさく感じたりします。でも、キュウカンチョウを二匹だけにすると、意外と無口だったようです。

その様子にうららかさを感じたのでしょう。春は動物たちにとっては恋の季節だったりしますから、お互い照れていたりしたのかもしれません。そう考えるとますますうららかに感じられます。

うららかや足湯を猫が嗅ぎにくる 北大路翼

鑑賞:メディアでも活躍している俳人、北大路翼の一句です。意味は簡単ですね。

足湯をしていたら、猫が臭いを嗅ぎに来た。

それだけでの句です。ぼーっと春の旅を満喫していたら猫が来たのでしょう。旅先で出会う動物に対してはつい微笑ましく見つめてしまうものですよね。

別に撫でたりするわけではなく、ただ見つめているだけです。関わってしまうと視界は猫でいっぱいになるわけですが、ぼんやりと見ているだけなので周囲の明るさも目に入ってくるわけです。その瞬間、春のうららかさに満たされたのでしょう。なんともない光景をバシっと俳句にしています。

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