春の季語『子猫』『猫の子』

春の季語『子猫』『猫の子』

解説
猫の繁殖期は年に四回あると言われていますが、俳句では『猫の恋』『猫の子』も春の季語とされます。おそらく昔は春の出産が目立ったのでしょう。

最近では猫をペットにする人も多く、現代人にとっても身近な存在になっています。『子猫』なんて言う言葉は身近ですから、是非この季語で俳句を作ってみてください。

『猫の親』も同じ仲間の季語です。

『仔猫(こねこ)』も同じ意味ですが今は子猫の方がよく使われています。

季語『子猫』『猫の子』の俳句と鑑賞

人に遣る子猫に仮の名をつけて 斉田仁

鑑賞:なんとも言えない句ですね。「人にあげるための子猫に仮の名をつけた」というだけの意味ですが、現代人の生活の中のちょっとした悲哀や優しさが溢れています。

俳句を作ると言うと難しいことのように思う人が多いのですが、そんなことはありません。ちょっとしたことを切り取れば俳句になることだってたくさんあるのです。

歩き出す仔猫あらゆる知へ向けて 福田若之

鑑賞:若手俳人福田若之の作品です。

子猫が歩き出した。今からあらゆる知へ向けての歩みが始る。

という意味です。ここで言う「あらゆる知」とは人間の作り上げた科学的なことではなく、猫の世界における「生きるための知恵」のようなものでしょう。かと言って決して馬鹿には出来ません。歩き始めの子猫の透き通った目を見てください。「あらゆる知」という言葉が大げさでないことが感覚としてわかるというものです。

子猫ねむしつかみ上げられても眠る 日野草城

鑑賞:この句は破調です。破調というのは五七五から外れていることです。
区切りを入れると

子猫ねむし/つかみ上げられ/ても眠る

というように数えます。最初の五音が六音になっていますね。
また、「つかみ上げられても」の途中にも音の区切りが入っています。ちょっと難しいですが、五七五ベースにしながらこのくらいズレたような俳句もアリなんです。

句の意味はすぐにわかりますね。

子猫はいつも眠い。つかみ上がられても眠っている。

それだけの句です。
ただ子猫の眠さを語っただけなのですが、破調も相まって「え?これも俳句でいいの?」と思わせながら、子猫のかわいさになんとなく納得してしまいます。

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