秋の季語『秋風』

秋の季語『秋風』

解説:昔から秋風が詩歌に詠まれているのは、三秋にわたってそれなりの情趣があるからである。さわやかに花野をわたってくる風もあれば、野分にも似た激しい風もあり、また、天地肅殺(しゅくさつ)たるといった風もある。

例句:

秋風が吹くそれだけの川原かな(平田節子)

鑑賞文:今まであんなにも暑かったのが嘘のようです。川原にきて水の音を聞くだけで、秋はそこにありました。川原に吹く風は優しく、今まで暑くて苦しかった心や身体を癒してくれるかのようです。

「秋風」といえば

秋の到来を予感させるものです。初秋の風を感じると、ものすごく気持ちいいものです。まだ暑さ残る日中、太陽の照り付けは、夏の片鱗を感じさせます。帽子を被らず外出すると、未だに頭がマッチ棒のように、ジリジリと灼けているのではないかと感じます。

しかし、木陰や田んぼの畦に立ってみると、その空気は一変します。あんなにも暑くてどうしようもなかったのに、その場所へ涼しい風が舞い込んでくるのが分かるからです。日に当たる場所が暑ければ暑いだけ、この風は優しく気持ち良いものです。

空気全体はまだ熱気があり、夏を感じるほうが大きいですが、時折、涼しい風が吹くと、肌で秋の訪れを感じます。サーッと吹いて髪の毛を揺らしながら、暑い空気へと向かっていきます。するとそこにある夏の風と混ざり合います。まだ日中は、完全な暑さではないにしろそこにはありますが、少しずつ秋の空気に変わっていくのがわかります。

涼しさに触れると心に余裕が出てきます。風すら涼しく感じることができず、厳しい暑さにどうにかならないかと心の中で叫んでいましたが、風の涼しさを感じると心の中も冷えてきます。
さっきまで気が付かなかったツクツク法師や秋の虫の声、遠くで鳴く鳩の声が耳に入ってきます。

明らかに秋はそこにあって、秋の姿を完全に見出すのは時間の問題となるのです。

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