秋の季語『冬支度』

秋の季語『冬支度(ふゆじたく)』

解説:冬支度とは、文字通り冬を迎えるに当たって準備をすることですが、準備は全国の地方によって様々です。都市部や農村部、職業などによっても違ってきます。雪国などでは雪囲や藪巻など。都市部では暖房具の点検など。サラリーマンの衣服の入れ替えなどで、大わらわになります。

例句:

箪笥のなか掻き回したる冬支度(油井和子)

もう気が付けば秋も半ば。今日あたりは急に寒くなって、なにか一枚羽織りたいです。でも、まだ冬物を出していなかったので、確かこの辺りか、あの辺りにあったような気がすると焦りながら服を探しているように感じます。

「冬支度」といえば

私は来るべき時の準備の総称であると思います。

ここでは冬に向けて、その寒さに耐えうる準備をすることですが、これはまだ来年、生きている人の観点からの言葉であると考えます。この冬を生きて、春を確実に迎えるであろう人から見れば、冬支度はしなくてはならないことだけれども、少し面倒くささが見え隠れしているように感じます。

もしも、大病を患っている人や、年老いて、いつあの世に旅立つか分からない人が、この言葉を耳にしたらとても淋しい思いをさせる言葉です。

殊に不治の病を患っている人からみれば、元気な人が面倒くさそうに過ごす、その時間さえも惜しみあるもので、そんなにその時間が億劫ならば分けて欲しいと考えるはずです。痛みを持つ人とそうでない人とは同じ言葉でも180度も捉え方が変わってしまうものだと実感します。

そして平均寿命をとうに過ぎて、いつあの世に旅立つかわからない者にとっては、冬支度よりも死に支度であって、最近よく耳にする終活という行いをすることになると考えます。着実に死が迫ってきている中で、少しずつ自分の身辺の整理をしていく、しなくてはいけないと思う切なさを感じます。

こうして冬支度という言葉には、立場がかわれば事情が一変するという意味が含まれているのだと思います。寒さだけでなく、死をも乗り切らないといけない厳しさのある言葉だとも私は受け取ります。

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