秋の季語『落鮎(おちあゆ)』

秋の季語『落鮎(おちあゆ)』

解説:春10センチにも満たない鮎の幼魚が海から川を遡上し、夏の間に川藻を食べて30センチほどに成長する。秋八月下旬から十月にかけて、成魚の鮎は産卵のために上流から中流の瀬を目指して川を下る。これが落鮎・下り鮎である。産卵期の鮎の背の黒ずんだ色や腹の赤錆びた荒々しさから錆鮎・渋鮎ともいう。

四五人の落鮎釣りに茜さす 西島美代子

鑑賞:川で4人か5人、釣りをしています。あまりにも一生懸命釣っているようで、気が付けば西の空に太陽が沈みかけているようです。たぶん辺りが真っ暗になってから、おや、もうこんな時間かと気がつくのでしょうか。そこまで真剣に鮎を釣る姿が、眼に焼き付いています。

『落鮎』といえば

人生の終着点に向かっている旅人のようです。落鮎とは産卵間際の鮎のことで、産卵が終わるとその体はやせほそり、やがて海へと行ってしまいます。もうそこで死んでしまうので、鮎の旅は終わるのです。

人間の一生が80年とすると、鮎の寿命は1年です。鮎はそれだけ濃い生き方をするのです。卵からかえった時には、彼らに親はいません。ただDNAのみで生きていくのです。
私たちは少なからず、人生に不満や、不安を抱えて生きています。鮎は食物連鎖でいうならば、さほど強い立場ではなく、鳥や色々なものに支配されて行きます。それでもたぶん、彼らは文句の一つもないでしょう。自然とは本来、そのようなものであるはずです。
人間は自然の一部でありながらも、何かと文句をいいます。たぶんそれはゴールというか、目標を設定できていない人たちに多いのではないかと思います。自分の立ち位置がわからないから、不安なのでしょう。そしてそれを紛らわすために、不満を口にしまうのではないでしょうか。

鮎は人生のゴールが、いたってシンプルです。それは産卵です。自分たちが、永遠に生きていくためにDNAを残し、次の世代のために死んでいくのです。人間ももちろんそうですが、いずれは死んでしまいます。その時、本当に幸せだったと言える、不満のない生き方を終わり方をできたらいいなと私は思うのです。

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