秋の季語『茸(きのこ)』

秋の季語『茸(きのこ)』

解説:松茸やしめじ、なめこなどは秋の味覚でよく知られています。これらは大型菌類の総称で、山林の湿地や朽木などに生えて来ます。樹に生えてくる姿から「木の子(きのこ)」と呼ばれるようになったそうです。晩秋の名物ですから当然秋の季語ですね。

また、『月夜茸(ツキヨダケ)』『紅天狗茸(ベニテングダケ)』は美しい色をしていますが、猛毒とされています。『茸狩り(きのこがり)』の事故として毎年ニュースになっています。昔から起こる事故だったのでしょう『毒茸(どくきのこ)』も秋の季語です。

同様の意味の季語として『茸山(きのこやま)』『毒茸』などがあります。

季語『茸(きのこ)』の俳句と鑑賞

月夜茸山の寝息の思はるる 飯田龍太

鑑賞:この茸は「ツキヨダケ」という毒キノコです。夜になると、ほわっと白く光るそうです。美しくまた怖いキノコですがそれを山そのもののように感じているのでしょう。時に恐ろしく、時に美しい(秋は特にですね)。またそのツキヨダケの佇まいから「山の寝息」を連想させるというのです。

通常このような「思われる」という表現をすると俳句が弱くなると言われています。なぜなら、「思う」のは読者に任せた方が広がりがあるからです。自分の思うことを書いてしまうとそこにイメージが固定されてしまいます。

しかし、この句ではあえてそう書いている。飯田龍太という俳人は名人ですから、間違うことなんてないでしょう。この句のイメージには「思わるる」という一人の人間の登場が必要だったのではないでしょうか。人間と山があり、その間にツキヨダケがある。そのような位置関係が浮かび上がる名句です。

茸山とは毒茸あるところ 小島健

解説:当たり前のことを言うパターンの俳句です。意味は簡単で誰でもわかりますね。「きのこ山というのは毒キノコのあるところですよ」それだけの意味です。しかし、「きのこ山」という言葉を使う時、それは恐らく行楽のためにきのこ狩りなどに出かけるときではないでしょうか?

そういうウキウキした気分の時にハッと思い出すこと。「そうだ。毒キノコに注意しなきゃ!」そういうところを切り取った一句です。楽しみなことの中に怖いことが潜んでいる。庶民の日常に沿った俳句じゃないかと思います。

「茸」といえば

秋の味覚でスーパースターのようです。実に色々な顔ぶれがあって個性豊かです。一見、綺麗で美味しそうに見えるキノコでも、実はかなりの毒を持っているものもあるので、用心は忘れずにしなければいけません。

まるで人間性を見ているかのようで、茸は食べられるものとそうでないものとがあるのと一緒で、無骨そうな人に見えても、接するととても優しくて、物腰が柔らかい良い人と、見た目はものすごく良さそうに見える人でも、話をしたり付き合ったりしてみると、予想を反して、かなり人間的に柄が良くない人といるのと同じです。

人間の場合は、分かったその時点で対応すればいいのですが、植物の茸の場合、下手をすると一瞬にして命を落としかねないものもあるので、こちらの選択のほうが難しいです。

心配しながら食べても美味しくないので、その手の名人と一緒に行動することがいいそうです。
また、知らない茸、少しでも不安のある茸、食べてはならない茸などは初めから採らないようにしましょう。

まるで、小さい子供に、知らない人にはついていってはダメだし、近づいてもいけないと念を押すのと同じようです。

それにしても、そんな危ない茸があるのが分かっていても、茸を人が食べるのは、知っての通り美味しいからです。かなりの欲張りであったとしても、痛い目に遭いたくなければ慎重に安全を最優先でいきましょう。

決して、見てくれだけの、派手なものに手を出してはいけません。これは人でも茸でも一緒だと思います。

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