秋の季語『秋の雨(又は秋雨)』

秋の季語『秋の雨(又は秋雨)』

解説:秋の雨は秋季に降る雨だが、秋雨というと、秋も中旬以降になってしとしとと降る感じが強い。

雨だれの棒の如しや秋の雨 高野素十

鑑賞:秋の雨は、意外と多く梅雨よりも長く降ると聞きます。この雨は本降りでより秋らしさを運んでくるようです。そのうちしんみりとした気持ちになりながら聞きほれ、ただただ心地よい世界へ連れていかれます。

「秋の雨」といえば

人生の儚さをより深く強調して考えさせるものだと考えます。

秋の雨はしとしとと降って、夏の雨からは想像できないほどのゆったりとした時間を作り出します。その雨は、夏の雨のような破壊的で暴力的な雨とは違い、人の心の中に少しずつ少しずつ沁み込んで、いずれは私の心の奥底へと流れ込んでいくのです。それは初め、人の心を壊すのではなくて、激しい夏の雨で心が翻弄されて痛んだ部分を気遣うように入りこんでくるのです。

もしも夏と秋、同じ時間雨が降っていたとしても、夏と秋とではその雨の強さと量は桁違いで、夏の雨だと、ただただ私の心は圧巻的に捕まれ囚われていくだけでした。

反対に秋の雨は物理的に冷たく、勢いも弱く、どことなく頼りない細い雨で、そのせいか時間も長く感じられます。そんな雨だからこそ、夏の雨で熱せられた心を秋の空気で冷やしながら、あまりにも強制的に迫ってきた夏の猛雨からちょっとずつ解放してもらうことができます。

そしていつの日か、夏の雨を忘れ、心は完全に秋の雨に占領され、その特有の冷たさに寂しさが募り、今度は人の心を悲しく冷やし始めるのです。その冷たさは特別で、心を震わせながら心の中から独創的な力を発揮してより儚くさせます。

奪われた心は、秋の雨によって、悲しく寂しい思いを心の中をいっぱいにしながら、秋の世界へといざなわれていくようです。

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