秋の季語『星月夜』

秋の季語『星月夜』

季語の解説:

星と月が同時に出ている空のことではなく、月のない晴れた夜空に、星のひかりがばらまかれたように美しく、まるで月のように輝いているさまをいいます。秋は空気が澄んでいますから、星もよく見え、『流れ星』のような季語もあります。

例句:

梟時計鳴くこと忘れ星月夜(室生幸太郎)

鑑賞文:

あまりにもきれいな夜空に我を忘れてしまいました。
ずっと見ていたくなるほどの光景で、時間の流れが止まっているかのようで、梟時計が時を刻んでいてもそれさえ耳に入りません。こんな日は、時の流れがものすごくゆっくりと、ゆったりと進んでいるに違いないと思うのです。

もしかしたら、フクロウ時計の電池が切れていただけのことかもしれませんが、このような形で俳句にするととてもロマチックになります。

星月夜の季語はあんまり甘い言葉と組み合わせるとロマンチックになりすぎるので注意が必要かも知れません。

「星月夜」といえば

私はなんとも言葉にならない宝石箱のような別世界だと思うのです。
天空の昼間の主役は太陽で、夜の主役は月なのです。そしてその名脇役が星々です。
ですが、夜空の主役の月が、出番を忘れてしまう日もあります。
そんな時にはたくさんの星々が所せましと、「わたしが」「わたしが」と言わんばかりに自己主張して大いに瞬き始めるのです。
たくさんの星々が月の代役は私だとキラキラと輝きを誇って見せているのです。

また別の視点から見ると太陽が父、月が母、星々はその子供たちのようでもあります。
ずっと見上げていると、その輝きが人の子のように見え、星一つ一つの個性に気が付くのです。
また、その中には口うるさく言う、母のような月がおらず、星たちがはしゃいでいるかのようにも見えます。

ところで、人が一度天を仰げば、その美しさに言葉を失ってずっと見てもその姿は見飽きることはないのです。
そこかしこ、人の手が届きそうな所に星々があるかのようで、今にでも簡単に掴み取れそうです。
星月夜は、我を忘れるほどの神秘性を醸し出しています。
まるでそれは、人の時間からいつまでも輝きたい、星々の望む時間の世界へと連れて行って、非常にゆったりと時間が動いているかのようにも私には見えるのです。

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